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SIerの将来性はお客さんの予算で決まる|投資計画+9.3%の中身

SIerの将来性はお客さんの予算で決まる|投資計画+9.3%の中身 ITエンジニアの仕事と年収
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「SIer 将来性」で調べると、「やめとけ」「やばい」「AIで仕事がなくなる」といった言葉が並びます。いまSIerで働いている人も、これから入ろうとしている人も、読めば読むほど不安になる。そんな経験がある人は多いはずです。

先に結論を置きます。SIerの将来性は、SIerの外側、つまりお客さんの会社がITにいくら使うかで決まります。 SIerの売上は、お客さんのIT予算から出ているからです。そして、その予算は今も増えています。

日本銀行の短観(2026年9月調査)では、ソフトウェアと研究開発を含む設備投資の2026年度計画は、前の年度より9.3%多い見込みでした※1。ソフトウェアなどを含まない設備投資は7.6%増なので、ソフトウェアを含めたほうが伸びが大きい計算です。

ただし、全部の会社が同じように伸びるわけではありません。ここからは、お客さんの予算の増え方、会社の大きさによる差、AIが仕事をどう変えるかを、公的な数字で順に見ていく構成です。SIerという業態の仕組みそのものはSIerとはで扱っています。

SIerの将来性はあるのか|お客さんのIT予算はまだ増えている

SIerの売上は、お客さんの会社のIT予算から出ています。日本銀行の短観では、ソフトウェアと研究開発を含む設備投資の2026年度計画は前年度比9.3%増でした※1。ソフトウェアを含まない設備投資の7.6%増を上回っており、会社がシステムにお金を使う流れは続いています。

SIerの将来性を考えるとき、出発点にしたいのは「SIerの売上はどこから来るか」です。答えはお客さんの会社のIT予算。お客さんがシステムに使うお金が増えれば、SIerの仕事も増えます。逆に、お客さんが予算を絞れば、どれだけ腕のいいSIerでも仕事は減る。

だから、SIerの将来性を一番確かに映すのは、SIerの外側にある数字です。日本銀行が企業に直接聞いている短観の数字を並べます※1。

2026年度の設備投資計画(全規模・全産業) 前年度比
ソフトウェア・研究開発を含む(土地を除く) +9.3%
ソフトウェア・研究開発を含まない(土地を含む) +7.6%

ソフトウェアを含めると伸びが大きくなる。会社がお金を使う先として、ソフトウェアの比重が上がっていることがうかがえます。

SIerの将来性を数字で見る|情報通信業の売上は前年同月比6.4%増

総務省のサービス産業動態統計では、2026年7月の情報通信業の売上高は6.5兆円で、前の年の同じ月より6.4%増えました※2。業界団体の情報サービス産業協会の集計でも、回答企業の売上高は前の年度より平均5.71%伸びています※3。業界全体の売上は伸び続けています。

お客さんの予算の次は、SIerを含む業界側の売上を見ます。

指標 数字 出どころ
情報通信業の月間売上高(2026年7月) 6.5兆円・前年同月比+6.4% 総務省※2
情報サービス企業の売上高成長率(2024年度) 平均+5.71% 情報サービス産業協会※3
情報処理・通信技術者の有効求人倍率(2026年8月) 1.48倍 厚生労働省※4

情報通信業には通信や放送も含まれるので、SIerだけの数字ではありません。それでも、IT関連の売上が前の年を上回り続けていることは読み取れます。

人の面でも同じ傾向です。ハローワークの統計では、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.48倍で、職業全体の1.17倍を上回りました※4。仕事を探す人より、人を探している求人のほうが多い状態です。

SIerの将来性は、お客さんの会社の大きさで変わる

2026年度のソフトウェアを含む設備投資計画は、大企業11.0%増、うち非製造業15.0%増、中堅企業8.4%増、中小企業1.6%増

日本銀行の短観では、ソフトウェア・研究開発を含む設備投資の2026年度計画は、大企業が前年度比11.0%増、中堅企業が8.4%増、中小企業が1.6%増でした※1。大企業の非製造業では15.0%増です。どの大きさのお客さんを相手にしているかで、SIerの将来の伸び方は変わります。

全体では9.3%増でも、中身を分けると景色が変わります※1。

ソフトウェア・研究開発を含む設備投資(2026年度計画) 前年度比
大企業 +11.0%
 うち非製造業 +15.0%
中堅企業 +8.4%
中小企業 +1.6%

大企業の伸びが大きく、中小企業は小さい。SIerの将来性を考えるときに、この差は大切な手がかりになります。

大企業と直接取引する元請けのSIerは、伸びている予算を直接受け取る位置にいます。一方、中小企業を主なお客さんにしている会社では、お客さんの予算の伸びは緩やかです。

これは、どちらが良い悪いという話ではありません。中小企業向けの仕事は、1社あたりの金額は小さくても、経営者と近い距離で仕組みを一緒に作れる面白さがあります。ただ、会社の売上の伸び方を見るなら、お客さんの大きさと業種を見るのが近道です。求人票の「主要取引先」の欄は、そのための手がかり。

元請けかどうかで年収がどう変わるかは、SIerの年収は席で決まるで詳しく扱っています。

AIはSIerの将来性を奪うのか|月19ドルの道具と人月の差

AIの道具Copilot Businessは1人月19ドル、プログラムを作る人の給与は平均月39.1万円

GitHubのAIの道具「Copilot Business」は、1人あたり月19ドルで使えます※5。プログラムを作る人の毎月の給与は平均39.1万円です※6。作業の一部をAIが手伝うようになると、作った量で値段が決まる仕事は単価を上げにくくなる一方、何を作るかを決める仕事の価値は上がると考えられます。

「AIでSIerの仕事がなくなる」という不安には、実在の値札で向き合ってみる。

  • 誰に:プログラムを書く会社と、その開発者
  • いくらで:Copilot Business は、1人(付与した席)あたり月19米ドル※5
  • 何を解決するか:コードを書くときに、AIが続きを提案したり、質問に答えたりする
  • なぜ選ばれるか:人を1人増やすのに比べて、圧倒的に安く、すぐに使い始められる

比べる相手として、国の統計でプログラムを作る人(ソフトウェア作成者)の毎月の給与を見ると、残業代を含めて平均39.1万円でした※6。

月19ドルの道具が、月39万円の人の作業の一部を手伝う。 この差は、SIerの値段の付け方にじわじわ効いてくる。

SIerの売上の多くは「人が何人、何か月働いたか」で決まる人月の考え方で積み上がっています。人月の仕組みは人月単価とはの記事へ。AIで作業の時間が短くなれば、同じ仕事を少ない人月で終えられる。人月で値段を出している限り、売上はむしろ減りかねません。

【推測】だからこそ、SIerの中で価値が上がるのは、何を作るかを決める仕事だと考えられます。お客さんの業務を聞き取り、要件を決め、全体の設計を描く。AIに作業を任せられるほど、何をさせるかを決める人の価値が上がるはずです。SIerとコンサルの境目でもあるこの仕事については、SIerとコンサルの違いにまとめています。

事業会社が自分でソフトウェアを作る側に回る流れと、その進め方は、ソフトウェア・ファースト(及川卓也)が扱っています。SIerのお客さんが何を考え始めているのかを、買う側の目線で知るための一冊です。

SIerの将来性を支える「動き続けるシステム」|保守と運用の仕事

システムは作って終わりではなく、動かし続けるための保守と運用の仕事が何年も続きます。長く続くシステムほど、仕組みの理解やノウハウが人に付きます。新しい開発が増えても減っても、動き続けるシステムを支える仕事は、SIerの将来性を下支えする土台になります。

私は派遣・SESの営業をしていて、データセンターでサーバーを構築・運用するエンジニアを何人も見てきました。夜勤を含めて24時間365日、途切れなくネットワークやサーバーを見守る仕事があります。現場では「24/365」と呼ばれています。

印象に残っているのは、1990年ごろのインターネットの黎明期から続く現場です。そうした現場では、当時からいる人がノウハウを抱えていることがあり、新しく入った人はまず関係を作るところから始めます。長く続く現場ほど、ノウハウが人に付いているのです。

ここに、SIerの将来性を考えるもう1つの視点があります。新しいシステムを作る仕事は景気の波を受けますが、すでに動いているシステムは止められません。銀行のシステムも、物流のシステムも、毎日動き続けている。それを支える保守と運用の仕事は、急になくなることはありません。

【推測】AIが作業を手伝うようになっても、何十年も動いているシステムの事情や、関わる人たちとの関係は、すぐには置き換えにくい部分です。

将来性のあるSIerを見分けるには|確かめたい3つの点

将来性のあるSIerは、主なお客さんの大きさと業種、元請けとして直接契約している割合、保守・運用など続く仕事の割合で見分ける

将来性のあるSIerを見分けるときは、①主なお客さんの大きさと業種、②元請けとしてお客さんと直接契約している割合、③保守・運用など続く仕事の割合、の3つを確かめます。どれも求人票や会社説明、面接で聞ける内容です。数字の大きさより、お客さんの予算の伸びとつながっているかが見どころです。

  1. 主なお客さんの大きさと業種 求人票の「主要取引先」を見ます。大企業の非製造業のように投資計画の伸びが大きい相手が多ければ、追い風を受けやすい位置です※1
  2. 元請けとしてお客さんと直接契約している割合 面接で「お客さんと直接契約している案件は全体のどのくらいですか」と聞けます。直接の割合が高いほど、何を作るかを決める仕事に関われる機会が増えます
  3. 保守・運用など続く仕事の割合 作って終わりの仕事だけでなく、動かし続ける仕事がどれだけあるか。売上の安定に効きます

加えて、AIの道具を社内でどう使っているかも聞いてみる価値があります。使い始めている会社なら、人月の考え方からどう変わろうとしているかの話が聞けるはずです。

SIerの将来性から見て、向いている人・合わない人

SIerの将来性を自分のものにしやすいのは、お客さんの業務に関心があり、何を作るかを決める側に回りたい人です。決められた作業を正確にこなすことだけに集中したい人は、その作業をAIが手伝う時代に、伸び方が小さくなる可能性があります。どちらを選ぶかで、合う会社も変わってくる。

向いている人

  • お客さんの仕事の中身を聞くのが面白いと思える人
  • 作業そのものより、何を作るかを決めることに関わりたい人
  • 長く動き続けるシステムを、責任を持って支えることにやりがいを感じる人

別の道も考えたい人

  • 特定の技術だけを深く掘り続けたい人
  • 自分たちのサービスを持ち、利用者の反応を直接見たい人

後者の人は、自社開発の会社や事業会社の情報システム部門が合っている場合があります。SIerから外へ移る道はSIerから転職で整理しています。

SIerの将来性についてよくある質問

SIerの将来性はお客さんのIT予算で決まり、2026年度計画は9.3%増、大企業ほど伸びが大きく、AIで何を作るかを決める仕事の価値が上がる
SIerの将来性はお客さんの予算で決まる。投資計画+9.3%の中身

SIerの将来性についてよく聞かれるのは、AIで仕事はなくなるのか、今からSIerに入っても大丈夫か、中小のSIerに将来性はあるかの3つです。どれも答えの鍵は、お客さんの予算の伸びと、自分が何を作るかを決める側に回れるかにあります。順に見ていく。

Q. AIでSIerの仕事はなくなりますか

作業の一部は、AIが手伝う形に変わっていく。一方で、お客さんの業務を聞き取って要件を決める仕事や、動き続けるシステムを支える仕事は残ると考えられます。どの仕事を担うかで、影響の大きさが変わります。

Q. 今からSIerに入っても大丈夫ですか

お客さんの会社のIT予算は増えていて、IT職の求人も求職者より多い状態です※1※4。入るなら、主要取引先と、元請けとして直接契約している割合を確かめてから選ぶのがおすすめです。

Q. 中小のSIerに将来性はありますか

会社の大きさより、誰を相手にしているかのほうが効いてきます。大企業と直接取引している中小のSIerもあります。一方で、中小企業を主なお客さんにしている場合は、お客さんの投資計画の伸びが1.6%と小さい点を知っておくと判断しやすくなります※1。

出典

Amazonのアソシエイトとして、儲けの構造は適格販売により収入を得ています。

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