儲かる仕組みとは|花屋・質屋・銀行など10業種のビジネスモデル一覧

ビジネスモデルとは?儲かる仕組みは「誰が・何に・いくら払うか」で決まる

ビジネスモデルとは、その会社が「誰から・何に対して・いくら受け取るか」の設計図です。商品を1回売って終わる会社もあれば、毎月少しずつ受け取る会社、利用者からは1円も取らず別の人から受け取る会社もあります。この3点さえ押さえれば、初めて聞く業種でも儲かる仕組みは読めます。

就職や転職で会社を調べるとき、事業内容の欄を読んでも、結局その会社が何でお金を得ているのか分からないことがあります。「総合商社」「人材サービス」と書かれていても、お金の流れは見えてきません。

そこで、身近な業種を1つずつ取り上げ、どこでお金を受け取っているのかを短く並べました。花屋、バー、雀荘、塾、薬局、質屋。そして銀行や病院のように、外からは分かりにくい業種も扱います。

読み終えたとき、求人票を見て「この会社は、誰から、何に対してお金をもらっているのか」を自分の言葉で言えるようになること。それがこの記事の目的です。

儲かる仕組みの5つの型【ビジネスモデル一覧表】

世の中のビジネスモデルの種類は無数にありますが、お金の受け取り方で分けると5つの型に収まります。売り切り、継続課金、手数料、広告、金利。どの業種も、この5つのどれか、あるいは組み合わせで動いています。まずこの5つを覚えてください。

誰が払うか いつ払うか 代表的な業種
売り切り 使う人 買うとき1回 花屋、アパレル、飲食
継続課金 使う人 毎月・毎年 塾、ジム、SaaS
手数料 取引をする人 取引が成立したとき 不動産仲介、人材紹介、証券
広告 使う人ではない第三者 表示・クリックのたび SNS、テレビ、フリーペーパー
金利 お金を借りた人 借りている間ずっと 銀行、質屋、リース

この表で大事なのは、2列目です。「使う人」と「払う人」が同じとは限りません。

SNSは、使っている人からお金を取っていません。無料で使えるのに会社が成り立つのは、広告を出す会社が払っているからです。テレビも同じ形でした。「タダで使えるものほど、誰が払っているのかを確かめる」。これが仕組みを読む最初の一歩になります。

【業種別】花屋・バー・雀荘・塾・薬局は、どこで儲けているのか

同じ「店」でも、お金の受け取り方はまったく違います。花屋は仕入れた花に手間を足して売り、バーは場所と時間を売る。雀荘にいたっては、席そのものの時間貸しでした。塾は毎月の月謝、薬局は国が決めた点数。どこで受け取っているかが分かると、その仕事の1日の過ごし方まで見えてきました。

花屋の儲かる仕組み ─ 傷みやすさが値段を決めている

花屋は売り切り型です。仕入れた花に、束ねる・組む・届けるという手間を足して売ります。

この商売の特徴は、商品が数日で傷むこと。売れ残りはそのまま損になります。だから、確実に売れる日に集中する形になりました。母の日、卒業式、開店祝い。行事とお祝いに強い店ほど、傷む前に売り切れます。

働く側から見ると、繁忙期の山が極端に高い仕事です。逆に言えば、その山を作れる人が評価されます。

バーの儲かる仕組み ─ 売っているのは酒ではなく時間と場所

バーも売り切り型ですが、売っているものが違います。

同じ銘柄のウイスキーが、店で飲むと数倍の値段になります。差額は酒代ではなく、座っていられる場所、静かさ、注いでくれる人の時間に対して払っている分です。

だから、席数と回転が売上の上限を決めます。席が10しかない店は、どれだけ人気が出ても1日に入れる人数が決まっている。ここが分かると、なぜ小さなバーが値段を下げないのかが読めます。

雀荘の儲かる仕組み ─ 時間に対して受け取る

雀荘は、席の時間貸しです。1時間いくら、あるいは1半荘(ハンチャン)いくらという形で受け取ります。

この型は、お客さんが長くいるほど売上が増えるという点で、飲食店と逆です。飲食は回転させたい。雀荘は座っていてほしい。同じ「店」でも、お金の受け取り方が違うと、お客さんへの接し方まで逆になります。

塾の儲かる仕組み ─ 続けてもらうことが全部

塾は継続課金型です。毎月の月謝を受け取ります。

1回の授業でいくら、ではなく、月にいくら。だから、来月も通ってもらえるかどうかが、売上のすべてになります。成績という結果が出るまでには時間がかかるので、その間ずっと「続ける理由」を渡し続けることになる。

働く側から見ると、教える力と同じくらい、保護者と生徒に状況を伝える力が問われる仕事です。

薬局の儲かる仕組み ─ 値段を自分で決められない

調剤薬局は、値段を国が決めています。同じ薬を同じように出せば、どの薬局でも受け取る額はほぼ同じです。

値段を自分で決められない業種は、量と効率で差を付けることになります。処方せんが多く集まる場所に店を置く、事務の手間を減らす、在庫を絞る。看板や内装で差を付ける商売ではありません。

この「値段が決まっている」という条件は、後で出てくる病院とまったく同じです。

実例|質屋の金利は年109.5%。法律がそれを認めている理由

質屋は、品物を預かってお金を貸す商売です。金利の上限は年109.5%と法律で決められており、一般的な貸金業の上限20%の5倍以上にあたります。高く見えますが、これは「取り立てをしない代わりの値段」でした。仕組みを分解すると、その理由が分かります。

ここまでは型の話でした。実際の数字で1つ見たほうが、ずっと早く腹落ちします。

法律に書いてある金利の上限

質屋営業法の第三十六条に、こう書かれています。

「二十パーセント」とあるのは、「百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)」

整理すると、次のようになります。

金利の上限
一般的な貸付け(出資法) 年20%
質屋 年109.5%(1日あたり0.3%)
うるう年の質屋 年109.8%

出どころ:e-Gov法令検索「質屋営業法」第三十六条

電卓を叩いてみる

1日0.3%なので、計算は簡単です。

10万円 × 0.3% × 30日 = 利息 9,000円

30日後に返す額 = 10万9,000円

60日なら利息は18,000円。期間が延びるほど、まっすぐに増えていきます。

なぜ、この金利が認められているのか

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

質屋営業法の第一条は、質屋営業をこう定義しています。「流質期限までに弁済を受けないときは、質物をもってその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業」。

つまり、返せなかったら預けた品物で終わりになります。質屋は、それ以上は追いかけません。

銀行・カードローン 質屋
審査 収入や勤務先を確認する 品物を見る
返せなかったら 督促が続く。信用情報にも残る 品物を渡して終わり
金利の上限 年20% 年109.5%

高い金利は、「返せなかったときに何も起きない」ことの値段でした。

審査をしないので、貸すかどうかは品物だけで決まります。返ってこないかもしれない前提で貸すので、その分が金利に乗る。そして、この理屈がそのまま銀行の裏返しになっています。銀行が時間をかけて審査するのは、返してもらう前提で、低い金利で貸すためです。

働く側から見ると、どういう仕事になるのか

質屋の店員の仕事は、品物にいくらの値を付けるかに尽きます。高く付ければ喜ばれますが、返ってこなかったときに損をする。安く付ければ損はしませんが、お客さんは他店へ行く。

毎日、この線を引き続ける仕事です。金利の数字だけを見て「儲かりそう」と判断すると、この線引きの重さを見落とします。

銀行・病院の儲かる仕組みが分かりにくいのは、なぜか

銀行と病院が分かりにくいのは、お金を払う人と、サービスを受ける人がずれているからです。銀行は預ける人と借りる人の両方がいて、病院は患者と健康保険の両方が払っています。登場人物が2人以上いる業種は、必ず分かりにくくなります。

銀行の儲かる仕組み

銀行は金利の型です。預かったお金を貸して、受け取る利息と支払う利息の差(利ざや)で稼ぎます。

ただし、いまはそれだけではありません。投資信託や保険を紹介して受け取る手数料の比重が上がっています。窓口で金融商品を勧められるのは、この構造から出てくる仕事です。

病院の儲かる仕組み

病院は、薬局と同じで治療の値段を国が決めています。同じ治療をすれば、どこの病院でも受け取る額はほぼ同じです。

では、どこで違いが出るのか。値段を自分で決められるところです。入院する部屋、健康診断、保険が効かない治療。ここに力が入るのは、まっとうな経営判断でした。

同じ形は、整骨院にもあります。保険が使える施術と、自費の施術。整骨院が儲かる仕組みで、その分かれ目を詳しく書きました。

私が初めて「どこで儲けてるんだろう」と思った日

2000年ごろ、街頭でインターネットのモデムが無料で配られていました。まだ学生だった私は、それを見て「タダで配って、この会社はどこで儲けているんだろう」と思ったのを覚えています。

当時の私は、お金のもらい方をアルバイトの時給でしか捉えていませんでした。1時間そこにいれば、お金がもらえる。その感覚しかなかったので、モノをタダで配る会社の理屈がまるで分かりませんでした。

答えは単純でした。モデムではなく、そのあとの回線契約で回収する形です。入口を無料にして、続けて使ってもらうことで元を取る。いま「継続課金」と呼ばれているものを、私は街頭で見ていたことになります。

同じ形は、いまも身近にあります。送料を0円にして注文を集めるサービスも、どこかで回収しています。その内訳はロケットナウのビジネスモデルにまとめました。

この問いが分かるようになると、求人票の見え方が変わります。

会社員になってからも、私はしばらく時給の感覚のままでした。自分の売上が悪い月でも決まった給料が入ることを、当たり前だと思っていた。それが当たり前ではないと分かったのは、歩合の世界に出てからです。固定給が出るということは、その会社に、売上が上下しても給料を払える仕組みがあるということでした。

求人票から儲かる仕組みを読む3ステップ

求人票を見るときは、事業内容ではなく「お金の入り口」を探してください。誰が払うのか、いつ払うのか、何回払うのか。この3つが分かれば、入社後に自分が何を求められるかまで見えます。3分でできます。

ステップ1:誰が払っているかを確かめる

使う人が払っているのか、別の誰かが払っているのか。無料で使えるサービスを扱う会社なら、必ず「では誰が払っているのか」まで調べること。ここが分からないまま入ると、自分が誰のために働いているのかも分かりません。

ステップ2:いつ払うかを確かめる

買うとき1回か、毎月続くか。ここで仕事の中身が変わります。

  • 1回で終わる(花屋・バー)… 新しいお客さんを見つけ続ける仕事になる
  • 毎月続く(塾・SaaS)… やめさせない仕事、続ける理由を渡し続ける仕事になる

同じ「営業職」でも、この2つはまったく別の毎日です。継続課金の会社の営業がどういう1日を送るかは、デイサービスが儲かる仕組みが分かりやすい例になります。

ステップ3:値段を自分で決められるかを確かめる

値段を自分で決められる業種と、決められない業種があります。

  • 決められる(アパレル・不動産・保険)… 提案の仕方で結果が変わる。腕が数字に出る
  • 決められない(薬局・病院・介護)… 量と効率で差が付く。仕組みを作る力が問われる

値段を自分で決められる会社の代表例として、仕入れから販売まで自社でやる形があります。その仕組みはユニクロのビジネスモデルにまとめました。

面接で使える質問

この3つを調べたうえで、面接ではこう聞けます。

「御社の売上は、1回きりのものと、続いて入ってくるものと、どちらが多いですか」

この質問ができる人は、事業内容の欄を読んだだけの人とは、はっきり区別されます。会社が何で立っているかを自分で読もうとした証拠になるからです。

業種別に、もっと詳しく知りたいときは

この記事で型をつかんだら、気になる業種の記事へ進んでください。それぞれ、実際の法律や公開されている料金表から、いくらで何を売っているのかを数字で追いかけています。誰が払い、いくらで元が取れるのかまで書いてあります。

まとめ:儲かる仕組みが読めると、会社選びが自分の判断になる

ビジネスモデルの型は、5つでした。

  • 売り切り… 花屋、バー。新しいお客さんを見つけ続ける
  • 継続課金… 塾、SaaS。続ける理由を渡し続ける
  • 手数料… 不動産仲介、人材紹介。取引を成立させる
  • 広告… SNS。使う人ではない誰かが払っている
  • 金利… 銀行、質屋。貸している間ずっと受け取る

そして、どの型にも共通する見方が1つあります。値段を自分で決められるかどうかです。決められない業種は量と効率で差を付け、決められる業種は提案で差を付ける。ここが分かると、自分がどちらに向いているかも見えてきます。

「未経験歓迎」と書かれた求人票を前にして不安になるのは、その会社が何で立っているのかが見えないからです。事業内容の欄には、そこが書かれていません。

誰が払うのか。いつ払うのか。値段は誰が決めるのか。この3つを自分で確かめられるようになれば、入るか入らないかを、人に決めてもらわなくて済みます。

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