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SIerの年収は席で決まる|設計889万円と実装579万円の差

SIerの年収は席で決まる ITエンジニアの仕事と年収
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「SIer 年収」で調べると、上位に並ぶのは会社ごとの平均年収ランキングです。1,000万円を超える会社名がずらりと出てきて、自分の給与明細と見比べて少し落ち込む。そんな経験がある人も多いと思います。

先に結論を置きます。SIerの年収は、会社の名前より先に「どの席に座っているか」で決まります。

国の賃金統計で同じIT職を見ると、システムを設計する人の年収は平均889万円、プログラムを作る人は579万円でした※1。差は310万円。しかも設計する人の席は、作る人の席のおよそ5分の1しかありません。

ここからは、お客さんが払ったお金がどこを通って給料になるのかを、国と業界団体の数字で順にたどる構成です。ランキングの読み方と、年収を上げるならどの席を目指すかまで、一続きで見ていきます。SIerという業態そのものの説明はSIerとはの記事へ。

SIerの年収は実際いくらなのか|設計する人889万円、作る人579万円

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、システムコンサルタント・設計者の年収が平均889万円、ソフトウェア作成者が579万円でした※1。同じIT職でも1.54倍の開きがあります。1年を通して勤めた給与所得者の平均給与478万円※3と比べると、どちらも上回っています。

ここで使う年収は、毎月の給与(残業代を含む)を12倍し、1年分の賞与を足したものです。従業員10人以上の会社で働く、短時間勤務を除いた人が対象で、勤め先の業種は問いません。SIerだけの数字ではない点は先に断っておきます。ただ、SIerのエンジニアの仕事は設計か実装のどちらかに近いので、物差しとしては十分に使えます。

職種(国の分類) 平均年齢 年収 働いている人の数
システムコンサルタント・設計者 38.3歳 889万円 約17.4万人
ソフトウェア作成者 37.1歳 579万円 約81.8万人

平均年齢はほぼ同じです。それなのに年収は310万円違う。年齢で説明できる差ではありません。

もう一つ、表の右端に目を向けてください。作る人は約81.8万人、設計する人は約17.4万人。設計の席1つに対して、作る席がおよそ4.7あります。 ピラミッドの上の段が狭いのは、どの業界でも同じです。SIerの年収の話は、この狭い上の段に座れるかどうかの話だと言い換えられます。

SIerの年収は、お客さんが払ったお金のどこから出ているのか

SIサービス型の会社は1人あたり3,684万円を売り、外注費を引いた2,508万円のうち1,042万円が人件費になる。

SIer型の会社は、社員1人あたり年3,684万円を売り上げています※2。そこから外の会社に払う情報関連の外注費を引くと2,508万円、人件費は1人あたり1,042万円です。お客さんの払うお金のうち、社員の人件費に回るのは約27%。年収の上限は、この1人あたりの売上で決まります。

これだけ見ると「3,684万円も売って、給料はその3分の1にもならないのか」と思う人も多いはずです。ただ、この3,684万円が丸ごと会社に残るわけではありません。

一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)が295社の回答をまとめた数字で、お金の流れを追ってみます※2。

SIサービス型の会社(92社)・社員1人あたり 金額
売上高 3,684万円
情報関連の外注費を引いた売上高 2,508万円
人件費 1,042万円
営業利益 431万円

外注費を引いた2,508万円のうち、1,042万円が人件費になります。JISAの人件費には給与・賞与のほか、福利厚生費や退職金の積み立てなども入っているので、本人の年収はここからさらに目減りした額です※2。残りは機械やソフトの代金、事務所の家賃、そして431万円の営業利益に分かれます。

買う側の会社は、なぜこの金額を払うのか

発注する会社の決裁者から見ると、SIerに払うお金は「人の時間」の代金ではありません。システムを期限までに動かす責任の代金です。

社内にエンジニアを抱えれば、そのぶん固定費が毎月出ていきます。使わない時期にも給料は発生する。SIerに頼めば、必要な期間だけ、完成まで面倒を見てくれる相手を買えます。設計を任せられる人がいる会社ほど、この「任せられる範囲」が広くなり、1人あたりの売上が上がります。

つまり、設計できる人の年収が高いのは、その人の席が会社の売上を一番大きく動かすからです。年収は個人の頑張りの点数というより、席が生む売上の分け前だと考えると、筋が通る話です。

人月単価の決まり方は人月単価とはで、外注費がどの階層へ流れていくかは多重下請け構造とはで詳しく扱っています。

SIerの年収は、会社の大きさでどれだけ変わるのか

同じシステムコンサルタント・設計者でも、従業員1,000人以上の会社では年収が平均約1,010万円、10〜99人の会社では585万円です※1。差は約425万円。ただし小さい会社は、売上のうち人件費に回す割合がむしろ高く、差の元は1人あたりの売上の違いです。

企業規模で分けた数字を並べます※1。

企業規模 設計者の年収 作成者の年収
1,000人以上 約1,010万円 641万円
100〜999人 854万円 555万円
10〜99人 585万円 518万円

設計者のほうが、規模による差がはっきり出ます。作成者は大きい会社と小さい会社の差が123万円。設計者では約425万円です。

小さい会社ほど、売上を人に回している

ここで面白い数字が1つ。JISAの集計を会社の大きさで分けると、売上のうち人件費に回す割合は、従業員200人以下の会社で38.38%、1,001人以上の会社で27.57%でした※2。小さい会社のほうが、稼いだお金を人に厚く配っています。

それでも1人あたりの人件費は、大きい会社で968万円、小さい会社で644万円です※2。理由は1人あたりの売上の差にあります。大きい会社は3,455万円、小さい会社は1,670万円。2倍強の開き。

会社の大きさ(JISA) 1人あたり売上 人件費に回す割合 1人あたり人件費
1,001人以上 3,455万円 27.57% 968万円
200人以下 1,670万円 38.38% 644万円

大きい会社は、設計から丸ごと引き受けるSIサービスが売上の46.7%を占め、小さい会社では22.4%です※2。大きい会社ほど1人あたりで動かす金額が大きくなりやすい。小さい会社は、限られた売上の中から精いっぱい人に配っている。年収の差は会社の気前の差ではなく、どの位置で仕事を受けているかの差です。

SIerの年収は何歳から差がつくのか

30歳の時点では、SIサービス型の会社とソフトウェア開発型の会社の年収差は約22万円しかありません※2。差が大きく開くのは40代です。従業員1,000人以上の会社の設計者は40〜44歳で約1,344万円、10〜99人の会社では747万円。差は昇格が重なる時期に生まれます。

JISAは、各社の25歳・30歳・35歳の給与と賞与を集めています(残業代は含みません)※2。

30歳の年収(JISA) 金額
SIサービス型の会社 505万円
ソフトウェア開発型の会社 483万円
1,001人以上の会社 538万円
200人以下の会社 466万円

会社の型で比べても、大きさで比べても、30歳での差は数十万円です。ランキングで見た数百万円の差とは、ずいぶん印象が違うはずです。

では差はいつ開くのか。国の統計で年齢別に見ると、答えが出ます※1。

年齢 設計者(1,000人以上) 設計者(10〜99人) 作成者(全体)
25〜29歳 738万円 502万円 485万円
30〜34歳 975万円 574万円 560万円
40〜44歳 約1,344万円 747万円 686万円
45〜49歳 約1,379万円 774万円 729万円

大きい会社の設計者は、30代前半から40代前半にかけて約369万円上がります。作成者全体では同じ期間に127万円。年収の伸びは、毎年の昇給より、上の等級へ上がるタイミングで大きく動く仕組みです。 この仕組みは社内SEの年収はどこから出るのかで等級表を使って説明しています。

20代のうちは、どこにいても年収はそれほど変わりません。だから20代の転職では、今の年収の差より、10年後にどの席に座れる場所かを見たほうが判断を誤りにくいと考えます。

SIerの年収ランキングの数字は、どう読めばいいのか

ランキングに載る「平均年間給与」は、有価証券報告書を出した会社の社員だけの平均です。グループ会社の社員は入っていません。平均年齢や残業時間によっても上下するので、比べるときは平均年齢と、自分が入る会社が報告書を出した会社そのものかどうかを、必ず一緒に見ます。

ランキングの数字そのものは正しい情報です。ただ、読み方を知らないと、自分に当てはまらない数字を物差しにしてしまいます。確かめたいのは次の3つです。

  1. その数字は、自分が入る会社のものか。 大手のSIerはグループ会社を多く持っています。報告書の数字は親会社の社員だけで、子会社の社員は含みません
  2. 平均年齢は何歳か。 年収は40代で大きく伸びるので、平均年齢が高い会社ほど平均年収も高く出ます
  3. 残業代はどれくらい入っているか。 JISAの集計では、ITエンジニアの年間残業時間は大きい会社で259時間、小さい会社で192時間でした※2

具体的な会社の数字を使った読み方は、SIerとはの年収の節で、1社を例に取り上げています。

ランキングで「この会社は年収1,000万円」と見たら、それは「この会社の、この年齢構成の、親会社の社員の平均」と読み替える。そのうえで、国の統計の職種別・年齢別の数字と並べると、自分が10年後にいそうな位置が見えてきます。

SIerで年収を上げるには、どの席へ移ればいいのか

道は3つです。作る席から設計する席へ移る、同じ設計の席のまま1人あたりの売上が大きい会社へ移る、設計の力を客観的に示せる資格を取る。3つめは国家試験のシステムアーキテクト試験やプロジェクトマネージャ試験が該当し、受験手数料は7,500円です※4。

1. 作る席から設計する席へ

一番効くのはこれです。国の統計では、平均年齢がほとんど同じ2つの職種で、年収が310万円違いました※1。社内で設計やお客さんとの打ち合わせに入れる機会があるなら、まずそこに手を挙げる。席が変われば、同じ会社のままでも年収の伸び方は別物です。

2. 1人あたりの売上が大きい会社へ

設計の席に座れたあとは、会社の位置が効いてきます。同じ設計者でも、会社の大きさで約425万円の差がありました※1。お客さんと直接契約している会社かどうかは、求人票の「取引先」の欄や面接で確かめられる項目です。SIerから外へ出る選択肢はSIerから転職で整理しています。

3. 設計の力を、紙で示す

20代で設計の経験がまだ少ない人にとって、実在する道具で一番手が届きやすいのが、情報処理推進機構(IPA)の国家試験です※4。

  • 誰に:作る席から設計の席へ移りたい20〜30代のSIer社員
  • いくらで:受験手数料7,500円(税込)※4
  • 何を解決するか:設計やプロジェクト管理を任せてよい人だと、経験の年数以外で示せる
  • なぜ選ばれるか:国家試験で、合格者には経済産業大臣の署名入りの合格証書が出る※4。会社の外でも同じ物差しで通じる

プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクトの目的の実現に責任を持ってマネジメントを担う人を対象にしています※5。2026年度は全区分がコンピューターで受ける形式に変わり、プロジェクトマネージャ試験の申込受付は2027年1月27日から2月27日です※4。

私は新卒で営業をしていたころ、経験がほとんどないなりに、基礎知識と法律だけはしっかり勉強しました。理由は単純で、違法なことを知らずに進めたら、相手に迷惑をかけるからです。いま振り返ると、資格や勉強の価値もそこにあると思います。お客さんが設計者に払うのは「この人なら任せても事故を起こさない」という安心の代金です。 試験は、その安心を経験の年数以外で見せる手段になります。手当のために取る資格より、相手に迷惑をかけないために取る資格のほうが、面接でも話の筋が通ります。

設計の先、チームを率いる側へ上がるときに何が求められるかは、エンジニアのためのマネジメントキャリアパスが段ごとに扱っています。テックリードからマネージャー、CTOまで、席が1つ上がるたびに仕事の中身がどう変わるかを追った本です。

SIerの年収の伸び方は、働く側から見て自分に合うのか

SIerの年収は、設計やお客さんとの調整を任される席に移ったときに大きく伸びます。人の話を聞いて要件にまとめるのが苦にならない人には伸びやすい仕組みです。手を動かして作ることそのものが好きな人は、作る技術の値段が高い場所を選ぶほうが合っています。

設計の席の毎日は、コードを書く時間よりも、打ち合わせと資料の時間のほうが長いのが普通です。お客さんの業務を聞き取り、決めごとを文書に残し、作る側のチームに渡す。決めた内容が後でずれれば、説明に行くのも設計者の役目です。

向いている人

  • お客さんの業務の話を聞くのが面白いと思える人
  • 決めたことを文書にして、関係者の認識をそろえるのが得意な人
  • 自分で作るより、全体がうまく回ることに達成感がある人

別の道のほうが伸びやすい人

  • 手を動かして作っている時間が一番楽しい人
  • 特定の技術を深く掘りたい人

後者の人は、技術そのものに高い値段が付く自社開発の会社や、クラウドなど特定の分野の専門職を目指すほうが、年収と毎日の満足が両立しやすいと考えます。SIerの年収の仕組みは「上の席ほど伸びる」形なので、その席の仕事が好きになれるかどうかが、長く続けられるかの分かれ目です。

SIerの年収についてよくある質問

SIerの年収は会社名より席で決まり、設計者889万円と作成者579万円の差は40代の昇格の時期に大きく開く。

SIerの年収についてよく聞かれるのは、30歳の目安、営業職の年収、中央値の3つです。30歳はJISAの集計で約505万円(残業代を除く)、システム営業を含む営業職は国の統計で平均659万円でした。中央値は公的な集計が無く、平均だけが公表されています。

Q. SIerの30歳の年収はどれくらいですか

JISAの集計では、SIサービス型の会社の30歳は約505万円です(残業代を含まない、各社の単純平均)※2。国の統計で設計者の30〜34歳を見ると866万円、作成者は560万円でした※1。席によって、30代前半で300万円ほどの差がつきます。

Q. SIerの営業職の年収はどれくらいですか

国の統計で「機械器具・通信・システム営業職業従事者」を見ると、平均659万円です※1。1,000人以上の会社で745万円、10〜99人の会社で556万円でした。この分類はシステム以外の機械や通信の営業も含みます。

Q. SIerの年収の中央値は分かりますか

国の統計も業界団体の集計も、職種別の中央値は公表していません。平均は一部の高い人に引っ張られて上に出やすいので、年齢別・規模別の平均で、自分に近い行を見るのが現実的です。

Q. SIerの年収は今後上がりますか

JISAが集計した会社の売上は、2024年度に前の年度より平均5.71%伸びました※2。1人あたりの売上が伸びれば配れる額も増えるので、追い風ではあります。ただし伸びる業界の中でも、年収が伸びるのは設計の席から先です。

出典

Amazonのアソシエイトとして、儲けの構造は適格販売により収入を得ています。

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