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SESから転職|給料の出どころが変わる仕組みとIT求人倍率1.48倍

SESから転職|給料の出どころが変わる仕組みとIT求人倍率1.48倍 ITエンジニアの仕事と年収
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SESで客先に常駐して数年。「このままでいいのか」と思って転職サイトを開くと、出てくるのは「SESからの転職は難しい」「早めに動くべき」という言葉ばかり。不安だけが大きくなって、何から手を付ければいいか分からなくなる人は多いはずです。

先に結論を置きます。SESから転職するとき、いちばん大きく変わるのは仕事の中身ではなく、給料の出どころです。 いまの給料の出どころは、客先が払う単価。転職すると、それが「会社自身の売上」や「社内の予算」に変わる。この違いを知っておくと、どの会社を選ぶか、面接で何を話すかが決まってきます。

数字の面では、追い風が吹いている。ハローワークの統計では、2026年8月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.48倍で、職業全体の1.17倍を上回りました※1。

ここからは、SESから転職するときのお金の流れ、行き先ごとの違い、そして転職エージェントが無料で使える理由まで、順にたどる構成です。SESという働き方の仕組みそのものはSESとはで説明しています。

SESから転職すると何が変わるのか|給料の出どころが「単価」から「売上」へ

SESの給料は客先が払う単価から出るが、転職先では自社の売上や社内の予算から出て、評価の物差しも変わる。

SESの給料は、客先がエンジニア1人に払う月々の単価から出ています。客先に常駐していない期間は、会社に売上が入りません。転職先が自社でサービスを売る会社や、事業会社の情報システム部門なら、給料は自社の売上や社内の予算から出ます。働く時間が同じでも、お金の流れ方が変わります。

SESの会社の売上は、「エンジニアの人数 × 1人あたりの単価 × 働いた月数」で決まります。単価の決まり方は人月単価とはで詳しく扱っていますが、ここで大事なのは1点だけ。客先に入っていない月は、その人の売上がゼロになるということです。

私は派遣会社の営業として長く働いてきました。派遣とSESは契約の形が違いますが、「人が客先で働いている時間にしか売上が立たない」という点は同じです。働いていない分は顧客に請求できないのに、本人には給料を払う。人を集めて長く働いてもらうほど、こうした負担が積み上がっていく。営業の毎日は、その差をどう埋めるかの連続でした。

この仕組みの上では、会社があなたを評価する物差しも、どうしても「どこに、いくらで、何か月入れたか」になりやすい。客先で感謝されても、それがすぐ給料に結びつかないと感じるのは、このためです。

転職すると、物差しが変わります。

働く場所 給料の出どころ 評価されやすいもの
SES 客先が払う単価 稼働している月数、単価の高さ
自社開発の会社 自社サービスの売上 サービスの売上や利用者の伸びへの貢献
事業会社の情報システム部門(社内SE) 会社のIT予算 社内の業務がどれだけ楽になったか
元請けのSIer 発注企業との契約金額 設計や取りまとめを任せられる範囲

どれが良い悪いではなく、何で評価されたいかで選ぶ場所が変わります。

SESから転職するのは難しいのか|IT職の求人倍率は1.48倍

ハローワークの統計では、2026年8月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.48倍、新規求人倍率は3.13倍でした※1。職業全体の1.17倍、2.06倍を上回っており、IT職の求人は求職者より多い状態です。「難しい」と言われる理由は、市場より経歴の伝え方にあります。

数字を並べます。パートタイムを除く常用の、2026年8月の原数値です※1。

職業 有効求人倍率 新規求人倍率
情報処理・通信技術者 1.48倍 3.13倍
職業全体 1.17倍 2.06倍

有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して、求人がいくつあるかを示す数字です。1を超えていれば、求人のほうが多い。ただし、これはハローワークを通した求人と求職だけの集計で、民間の転職サイトやエージェントの求人は入っていません。市場全体の雰囲気をつかむ物差しとして見てください。

それでも「SESからの転職は難しい」と言われるのはなぜか。【推測】理由は主に2つあると考えられます。

  1. 経歴が客先ごとに細切れになりやすい。 数か月ごとに現場が変わると、「何を成し遂げた人か」を一言で言いにくくなる
  2. 自分の市場価値を測る機会が少ない。 単価は会社と客先の間で決まり、本人に見えないことが多い

どちらも、能力の問題ではなく、伝え方と情報の問題です。後半で、伝え方の直し方を扱います。

SESから転職できる先はどこか|4つの行き先と、それぞれのお金の流れ

SESからの主な転職先は、元請けのSIer、自社開発の会社、事業会社の社内SE、そして常駐先の会社の4つです。どの行き先でも、給料の出どころと評価の物差しが変わります。何を伸ばしたいか、何で評価されたいかで選ぶと、入ったあとのずれは小さくて済みます。

行き先 向いている人 入ったあとの毎日
元請けのSIer 設計や客先との調整を任されたい人 打ち合わせと資料が増え、自分で作る時間は減る
自社開発の会社 1つのサービスを長く育てたい人 同じプロダクトに何年も関わる。利用者の数字を追う
社内SE 1つの会社の業務に深く入りたい人 社内の人の困りごとを聞き、仕組みで解決する
常駐先の会社 今の現場と人間関係を続けたい人 立場が「外の人」から「中の人」に変わる

元請けのSIerに移ると、給料の伸び方が大きく変わる可能性もある。国の統計では、システムを設計する人の平均年収は889万円、プログラムを作る人は579万円でした(2025年)※2。詳しくはSIerの年収は席で決まるで扱っています。

自社開発と社内SEは、どちらも「1つのものに長く関わる」働き方です。違いは、売る相手が社外の利用者か、社内の同僚か。社内SEの仕事の中身は社内SEとはにまとめています。

SESから転職して常駐先の社員になることはできるのか

常駐先の会社に誘われて転職する道は、実際にあります。ただし、SESの会社と常駐先の会社の間の契約に、引き抜きに関する決まりが書かれていることがあります。動く前に、自分の会社の就業規則と、聞ける範囲で会社同士の契約の決まりを確かめておくのが先です。

「いまの現場の人たちと、このまま一緒に働きたい」。常駐先への転職を考える人の多くは、こう感じているはずです。仕事の中身は分かっていて、人間関係もできている。入ったあとのずれが最も小さい選択肢です。

派遣の世界では、派遣先の社員になる道が制度として用意されています。私が派遣会社の営業をしていたころは、同じ部署で働ける期間に上限があるため、期限が来る前に派遣先の社員になってもらうほうが、派遣会社にとっても良い面がありました。

SESは派遣とは契約の形が違い、こうした制度はありません。会社同士の契約の内容は、会社ごとに違います。だからこそ、黙って話を進めるより、誘われた段階で自分の会社に相談するほうが、結果として揉めにくいと考えます。法的に争いになりそうな場合は、弁護士など専門家に確認してください。

SESから転職するとき、職務経歴書はどう書くか|スキルシートとの違い

SESで作るスキルシートは、客先に「この人をこの単価で出せます」と伝えるための資料です。転職の職務経歴書は、採用する会社に「この人は何を決め、何を変えた人か」を伝える資料です。使った技術の一覧を、担った役割と結果の話に組み直すと、評価のされ方が変わります。

同じ経歴でも、誰に向けて書くかで、書く順番が変わります。

項目 スキルシート(営業用) 職務経歴書(転職用)
読む人 客先の担当者 採用する会社の面接官
先頭に来るもの 使える言語・ツール・経験年数 担った役割と、出した結果
知りたいこと 明日から現場に入れるか 入社後に何を任せられるか

組み直し方は3段階です。

  1. 現場ごとに「自分が決めたこと」を1つ書き出す。 小さくてかまいません。テストのやり方を変えた、手順書を作った、新人に教えた
  2. その結果、何が変わったかを数字で書く。 作業時間、不具合の件数、問い合わせの数
  3. 細切れの現場を、1本の線でつなぐ。 「どの現場でも、手順を整えて作業を早くしてきた」のように、自分の強みを1行にまとめる

客先が変わるたびに環境に慣れてきた経験そのものも、立派な強みです。新しい現場に早く溶け込める人は、どの職場でも重宝されます。

経歴の棚卸しから行き先の選び方までを一冊で扱っているのが、ITエンジニアの転職学(赤川朗)です。ITエンジニアの転職を専門に支援してきた著者が、2万人の選択をもとにまとめた本です。

SESから転職するとき、転職エージェントが無料で使えるのはなぜか

職業安定法は、職業紹介の会社が仕事を探す人から手数料を取ることを、原則として禁じています※3。代わりに、採用した会社が手数料を払います。リクルートエージェントは完全成功報酬型で、手数料の相場は採用した人の理論年収の35%程度と説明しています※4。年収500万円なら175万円です。

転職エージェントに登録すると、求人を紹介してもらい、書類も直してもらえて、面接の日程まで調整してもらえる。それなのに、こちらは1円も払わない。不思議に思った人もいるはずです。

答えは法律と、お金の流れにあります。職業安定法には「有料職業紹介事業者は、(中略)求職者からは手数料を徴収してはならない」と書かれています※3。例外は、求職者の利益のために必要だと厚生労働省令で定めた場合に限られます※3。

では誰が払うのか。採用した会社です。リクルートの企業向けサイトの解説では、手数料は「理論年収の35%程度」が相場だとし、料率は最大50%まで設定できるとされています※4。同じページで、リクルートエージェントの費用は「初期コストゼロの完全成功報酬型」と説明されています※4。

理論年収 料率35%の手数料
400万円 140万円
500万円 175万円
600万円 210万円

採用する会社は、なぜこの金額を払うのか

採用する会社の側から見ると、手数料は「採れたときだけ払う」お金です。求人広告のように、出しても応募が来なければ費用だけが残る、ということがありません。人事の担当者が何十人も面接する時間も減らせる。IT職のように求人が求職者より多い職種ほど、1人を確実に採れることの価値が上がると考えられます。

働く側が知っておきたいこと

エージェントの売上が立つのは、あなたが入社したとき。だからこそ、親身に動いてくれる。そのうえで、紹介された会社が本当に自分に合うかは、自分の物差しで確かめる必要があります。最初に挙げた「その会社の給料はどこから出ているか」という問いは、そのときの物差しになります。

SESから転職するのが向いている人・今の場所が合っている人

SESからの転職が向いているのは、1つのサービスや1つの会社に長く関わりたい人、設計や企画まで踏み込みたい人です。いろいろな現場を経験して技術の幅を広げたい人には、SESという働き方のほうが合っている場合があります。どちらも正しい選び方です。

転職が向いている人

  • 同じプロダクトや同じ会社の業務に、何年もかけて深く関わりたい人
  • 決められた作業より、何を作るかを決める側に回りたい人
  • 自分の評価を、客先ではなく自社の中で受けたい人

今の働き方が合っている人

  • 数か月ごとに新しい現場と技術に触れるのが楽しい人
  • 特定の会社に縛られず、経験の幅を広げたい人
  • 20代のうちに、いろいろな業界の仕事の進め方を見ておきたい人

SESで複数の現場を見てきた経験は、どの道を選んでも消えません。いろいろな会社の仕事の進め方を内側から見た人は、実はそれほど多くないからです。

SESから転職するときによくある質問

SESから転職すると給料の出どころが単価から売上や予算へ変わり、経歴は役割と結果で伝えるのが要になる。

SESからの転職でよく聞かれるのは、何年目で動くのがよいか、未経験で入ったSESからでも転職できるか、転職できないと言われる理由の3つです。時期は現場の区切り、経歴は役割と結果の書き方、そして給料の出どころの違いを知ることが、どの質問にも共通する答えになります。

Q. SESから転職するなら、何年目がよいですか

年数より、区切りの良さのほうが効きます。現場の契約が終わるタイミングなら、客先にも自分の会社にも迷惑をかけずに動ける。1つの現場で「自分が決めたこと」を話せるようになってからだと、職務経歴書も書きやすい。

Q. 未経験でSESに入った場合でも転職できますか

できます。ハローワークの統計では、IT職の求人は求職者より多い状態です※1。大事なのは、経験年数より「現場で何を任され、何を変えたか」を言えることです。小さな改善でも、数字にして書けば十分な材料になります。

Q. SESからは転職できないと言われるのはなぜですか

経歴が現場ごとに細切れになり、強みを一言で伝えにくいからだと考えられます。逆に言えば、伝え方を整えれば解ける問題です。

出典

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