銀行員の年収はなぜ高いのか?銀行の儲かる仕組みから逆算する
銀行員の年収が高いのは、扱う金額が大きく、1人あたりが動かす利ざやの額が大きいからです。銀行は預かったお金を貸し、受け取る利息と支払う利息の差で稼ぐ形です。そこに手数料の収入が加わります。この2本立てを知ると、年収の出どころと仕事の中身が同時に見えます。
「銀行員は年収が高い」という話は、就職や転職を考えるときによく出てきました。ただし、そのお金がどこから来ているのかを説明できる人は、そう多くありません。
給料は、会社の稼ぎから出るもの。だから稼ぎ方が分かれば、何をすれば評価されるのかも分かります。逆に言えば、そこを知らずに入ると、数字の意味が分からないまま数字を追うことになります。
銀行の稼ぎ方を、実際の金利の数字から押さえます。
銀行の儲かる仕組みは2本立て|利ざやと手数料
銀行の収入は、貸したお金から受け取る利息(利ざや)と、商品やサービスを扱って受け取る手数料の2本立てです。かつては利ざやが中心でしたが、金利が低い時期が長く続いたことで、手数料の比重が上がりました。窓口の仕事が変わったのはこのためです。
1本目:利ざや ─ 借りて、貸す
銀行は、預金という形で個人や会社からお金を預かります。これは銀行から見れば「借金」でした。預金者に利息を払う義務があるからです。
そのお金を、住宅ローンや事業資金として貸し出す。受け取る利息と、払う利息の差。これが利ざやでした。
2本目:手数料 ─ 貸さずに受け取る
振込手数料、投資信託や保険の販売、相続や事業承継の相談。お金を貸さなくても入る収入です。
利ざやが薄い時期が続いたため、この2本目の比重が上がりました。窓口で金融商品を勧められるのは、この構造から出てくる仕事です。
実例|同じ銀行が、同じ商品で、10倍違う金利を出している
三菱UFJ銀行のカードローンは、利用限度額100万円までなら年13.6%〜14.6%、限度額710万円〜800万円なら年1.4%〜3.6%です。同じ商品で、上限どうしを比べると約4倍、下限どうしなら約10倍の差があります。この差が、銀行の稼ぎ方そのものを表しています。
ここまでは仕組みの話でした。公開されている実際の金利で見たほうが、ずっと早く腹落ちします。
| 利用限度額 | 金利(年) |
|---|---|
| 100万円まで | 13.6%〜14.6% |
| 710万円〜800万円 | 1.4%〜3.6% |
金利の出どころ:三菱UFJ銀行「ローン金利」(2024年9月16日現在のカードローン「バンクイック」)
電卓を叩いてみる
100万円を1年借りて、年14.6%なら利息は146,000円
100万円を1年借りて、年1.4%なら利息は14,000円
同じ100万円でも、10万円以上の差が出ます。
なぜ、この差が生まれるのか
限度額を800万円まで設定できる人は、返せる見込みがあると判断された人です。収入も、勤務先も、これまでの返済の記録も確認されています。
逆に、限度額が小さい段階では、その判断材料がまだ足りません。返ってこない可能性のぶんが、金利に乗ります。
金利は「お金の値段」ではなく「その人が返せる見込みの値段」でした。
この理屈は、質屋とちょうど裏返しになっています。質屋は品物を預かるので審査をしない代わりに、金利の上限が年109.5%と高く設定されています。儲かる仕組みの一覧で、その対比を詳しく書きました。
働く側から見ると、どういう仕事になるのか
この判断こそが、銀行の仕事の中身です。
- 融資担当… この会社に貸して返ってくるかを、決算書と現場から読む
- 窓口・リテール… お客さんの状況に合う商品を選び、なぜそれなのかを説明する
- 審査… 現場が持ってきた案件を、別の目で検算する
年収の高さは、この判断の重さに対して払われています。1件の判断が数千万円、数億円を動かすからです。
銀行員に向いてる人・向いてない人の特徴
銀行員に向いているのは、確認を面倒がらない人と、お金の話を落ち着いてできる人です。逆に、自分の裁量で早く進めたい人には窮屈に感じられます。数字が好きかどうかより、確認の手数を積み重ねられるかどうかが分かれ目になります。
向いてる人
- 確認を面倒がらない… 桁を1つ間違えれば、影響がそのまま人に及ぶ
- お金の話を落ち着いてできる… 相手が緊張している場面が多い
- 断る理由を説明できる… 貸せないときに、なぜかを伝える仕事がある
向いてない人
- 自分の判断で早く進めたい… 複数の目を通す仕組みになっている
- 数字より雰囲気で決めたい… 記録に残らない判断は通らない
どちらが優れているという話ではありません。合わない場所で頑張り続けるほうが、消耗します。
ノルマがきついと言われる理由を、構造から説明します
銀行の目標が厳しく感じられるのは、利ざやが薄くなったぶんを手数料で補う必要があるからです。手数料は商品を扱わないと入りません。だから「何件」という形の目標が置かれます。この構造を知っているかどうかで、受け止め方が変わります。
知り合いに、銀行に勤めていた人がいます。その人が言っていたことが、ずっと引っかかっていました。
人をだましている気持ちになる。
窓口に来た高齢のお客さんに、手数料の高い投資信託を勧めなければならない場面があった、という話でした。自分はもっとその人にぴったりの商品を知っているのに、利益になる商品だけをおすすめしなければならない。
私は、その人が悪い人だとは思いませんでした。むしろ、そう感じてしまうくらい真面目な人だから、続かなかったのだと思っています。
手数料を取ること自体は、悪いことではありません
商品を選び、説明し、その後の相談にも乗る。人の手がかかるのだから、対価が発生するのは当たり前です。
割り切れなさが出るのは、別のところでした。相手が、自分で判断できる材料を持っているかどうかです。
だから、入る前に確かめてほしいこと
面接では、こう聞けます。
「御社の収益のうち、利ざやと手数料の比率はどれくらいですか」
この質問ができる人は、まず落ちません。銀行が何で立っているかを、自分で読もうとした証拠になるからです。
そして、答えを聞けば自分がどちらの仕事を多くやることになるかが分かります。「やめとけ」と言われて迷っているなら、この1問で決められます。
まとめ:銀行員の年収は、判断の重さに対して払われている
銀行の稼ぎ方は2本立てでした。
- 利ざや… 預かって、貸して、その差を受け取る
- 手数料… 貸さなくても入る収入。金利が低い時期に比重が上がった
そして、金利の差が教えてくれたことが1つあります。金利は「その人が返せる見込みの値段」だったということ。同じ100万円でも、年14.6%と年1.4%では、1年で10万円以上変わります。
この見極めが、銀行の仕事そのものです。年収の高さは、その判断の重さに対して払われています。
他の業界がどこで稼いでいるかと並べると、銀行の特殊さがはっきりします。主な型をひととおり並べたのが儲かる仕組みの一覧です。

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