PR

SIerとは|作った量の47%を外に出しても売上が立つ仕組みと向いてる人

SIerとは|作った量の47%を外に出しても売上が立つ仕組み ITエンジニアの仕事と年収
この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれています。

求人票に「SIer」と書いてあっても、何をしている会社なのかは書いてありません。システムインテグレーターの略で、システムを作る会社です、と説明されて終わることが多い。

それだと、隣にある「SES」「社内SE」「自社開発」との違いが何も分かりません。どれもシステムを作っているからです。

SIerを他と分けているのは、作業の中身ではありません。お金がどこから入ってくるかです。

そこで、大手SIerが国に提出している書類を実際に開いて、売上・原価・外注の額を1つずつ拾ってきました。結論を先に書きます。

ある大手SIerは、1年で作ったシステムのうち、金額にして47.2%を社外の会社に発注していました。それでも売上8,147億円は、まるごとこの会社の売上として計上されます※1。 半分を外に出しても売上が立つ。この立ち位置を「元請け」と呼びます。SIerという業態は、この一点で説明がつきます。

SIerとは何をする会社か|企画から運用まで丸ごと引き受ける会社

SIerとは、System Integrator(システムインテグレーター)の略で、顧客のシステムを企画から設計・開発・導入・運用まで一括で引き受ける会社のことです。作業の一部を手伝う会社ではなく、完成した状態で納めることを約束する会社、と考えると輪郭がはっきりします。

日本語の正式な定義はありませんが、会社が自分でどう説明しているかは読めます。日鉄ソリューションズは、事業内容をこう書いています※4。

経営及びシステムに関するコンサルテーション/情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守及び管理/情報システムに関するソフトウェア及びハードウェアの開発・製造並びに販売及び賃貸/ITを用いたアウトソーシングサービスその他各種サービス

「企画」から「運用・保守及び管理」まで、一本の線でつながっています。 相談を受けるところから、動き出した後の面倒を見るところまでが1社の仕事になっている。これがSIerの守備範囲です。

この構図で最初に効いてくるのが、最後の「運用」です。野村総合研究所(NRI)の2026年3月期の売上8,147億円を、サービスの種類で分けるとこうなります※1。

サービスの種類 売上収益 全体に占める割合
運用サービス 3,378億4,700万円 41.5%
開発・製品販売 2,631億3,300万円 32.3%
コンサルティングサービス 1,767億100万円 21.7%
商品販売 370億2,500万円 4.5%
合計 8,147億800万円 100%

いちばん大きいのは、作る仕事ではなく、動かし続ける仕事でした。 41.5%で、開発・製品販売の32.3%を上回っています【計算:337,847 ÷ 814,708 = 41.5%】。

SIerを「システムを作る会社」とだけ覚えていると、ここを見落とします。作る仕事は終わりますが、動かし続ける仕事は終わりません。

SIerが元請けと呼ばれる理由|お金が入ってくる場所が下請けとは違う

SIerが元請けと呼ばれるのは、システムを使う会社から直接お金を受け取る位置にいるからです。銀行や官公庁が「システムを作りたい」と決めたとき、その予算は最初にSIerへ入ります。SIerはそこから、必要に応じて他の会社へ仕事と代金を渡します。お金の流れの最初の受け口に立っていることが、元請けという言葉の中身です。

システムを使う会社(銀行・官公庁・メーカーなど)
    ↓ 予算がここから出る
SIer(元請け)  ← 契約を結ぶのはここ
    ↓ 必要な部分を発注する
パートナー会社(一次)
    ↓
さらにその先の会社

大事なのは、いちばん上の矢印です。 発注元と契約書を交わすのはSIerであって、その先の会社ではありません。だから発注する側から見ると、話す相手はSIer1社で済みます。

ここに元請けの価値があります。発注する側にとって、10社と個別に契約して進捗を管理するのは、それ自体が仕事です。

買う側、つまり発注する経営者の計算はこうです。 情報システム部門が10人の会社が、数百人規模の開発を回そうとすると、管理する人を雇うところから始まります。採用に半年、育つのに2年。そのあいだシステムは1行も進みません。SIerへ一括で出せば、その半年と2年を買えます。

値段がつくのは、この「まとめて引き受けます」の部分です。 コードを書く作業そのものではありません。

SIerはなぜ儲かるのか|作った量の47.2%を外に出しても売上は全部自社に立つ

野村総合研究所は製造原価の47.2%を社外に発注しても、売上収益8,147億円は全額が自社の売上になる。

SIerが儲かる理由は、自社の社員が作っていない部分も、自社の売上として計上できるからです。野村総合研究所の2026年3月期を見ると、1年間に作ったシステムの製造原価4,975億3,300万円のうち、2,350億4,700万円が社外への発注でした。割合は47.2%※1。それでも売上収益8,147億800万円は、全額がこの会社の売上です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 7,648億1,300万円 8,147億800万円
生産実績(製造原価ベース) ― 4,975億3,300万円
うち外注実績 2,249億5,000万円 2,350億4,700万円
生産実績に占める外注の割合 47.4% 47.2%

会社自身も、有価証券報告書のリスクの章でこう書いています※1。

当年度において、生産実績に占める外注実績の割合は約5割であり

約5割。 会社が自分で書いている数字です。この文は、優良なパートナー会社を安定して確保することが事業の前提になる、という説明へ続きます。

これは1社だけの話ではありません。情報サービス産業協会(JISA)が会員企業を集計した統計では、2024年度の売上高外注費率は33.54%、同じ年の売上高人件費率は27.34%でした※2。

業界全体として、自社の社員に払う金額より、他社に払う金額のほうが多い。 そして昔からそうだったわけではありません。

1991年度 2024年度
売上高外注費率 19.96% 33.54%
売上高人件費率 32.80% 27.34%

33年で、完全に入れ替わっています。 外注費率は1.68倍になり【計算:33.54 ÷ 19.96 = 1.68】、人件費率は5.46ポイント下がりました。

理由は単純です。システム開発は、時期によって必要な人数が大きく変わるからです。大きな案件を受注した年は300人要る。翌年は80人でいい。この波を全部自社の正社員で吸収すると、暇な年に220人ぶんの人件費が丸ごと残ります。だから、波の上の部分をパートナー会社に出し、自社は波の底でも仕事がある人数だけを抱える。

こうすると、利益が安定します。同時に、元請けの取り分は「自分が作ったぶん」ではなく「自分が引き受けたぶん」で決まるようになります。

  • 受ける金額は、システム全体の値段
  • 払う金額は、外に出した部分の値段
  • 差額が、まとめて引き受けたことの対価として残る

この「差額で商売をする」形そのものは、SIerに限りません。人を貸す商売でも同じ形が出てきます。数字の見え方は派遣会社のマージン率とは|仕組みと平均、法律で公開される理由に整理してあります。あちらは法律で公開が決まっている業態で、SESはやめとけと言われる理由|マージン率が公開されない仕組みは公開義務がない業態の話です。同じ「差額」でも、外から見えるかどうかが違います。

SIerが受け取っている値段の中身|「完成責任」が利益の根拠になっている

SIerが受け取る値段には、納期までにシステムを完成させると約束したことへの対価が含まれています。請負契約という形式がそれで、作業時間ではなく完成した成果物に対してお金が払われます。裏を返すと、想定より手間がかかっても追加の請求ができるとは限りません。その超過分を引き受けていることが、元請けの利益の根拠です。

これは推測ではありません。野村総合研究所が、有価証券報告書のリスクの章で自分で説明しています※1。

情報システムの開発は、原則として請負契約であり、納期までに情報システムを完成させ納品するという完成責任を負っていますが、顧客要請の高度化・複雑化や完成までの諸要件の変更等により、作業工数が当初の見積り以上に増加し、納期に遅延することがあります。(中略)しかしながら、作業工数の増加や納品後の性能改善等による追加費用が発生した場合には、最終的な採算が悪化する可能性があります。

「完成責任」。 この4文字が、SIerの値段を決めています。

見積りが100人月だったものが、実際は130人月かかった。30人月ぶんの費用は誰が払うのか。請負契約では、原則として引き受けた側です。この30人月の可能性を、契約した時点で買い取っている。 だから保険料として、あらかじめ利益を乗せた値段で受注します。

どのくらい乗っているのか。3つを並べます。

会社・区分 決算期 売上高(売上収益) 粗利率 営業利益率
日鉄ソリューションズ※3 2026年3月期 3,813億4,000万円 26.7% 11.6%
TIS※5 2026年3月期 5,964億7,900万円 28.2% 12.8%
情報サービス産業の平均※2 2024年度 ― ― 10.79%

営業利益率は11.6%と12.8%で、どちらも業界平均の10.79%を上回っています。ここが元請けの位置に立っている会社の水準です。

日鉄ソリューションズの内訳を1段開けると、商売の形が見えます※3※4。

項目 金額
売上収益 3,813億4,000万円
売上原価 2,795億3,700万円
売上総利益(粗利) 1,018億200万円
従業員数(連結・2026年3月期) 10,276名
1人あたり売上 約3,711万円
1人あたり粗利 約991万円

【計算:381,340百万円 ÷ 10,276人 = 3,711万円/101,802百万円 ÷ 10,276人 = 991万円】

1人あたり3,711万円を売り、2,720万円が原価として出ていく。 残る991万円から、家賃も広告費も本社の人件費も出ます。

そしてもう1つ、元請けにしか出てこない数字があります。受注残高1,989億6,300万円です※3。すでに受注が決まっていて、まだ売上になっていない金額のこと。売上収益に対して約6.3か月ぶんにあたります【計算:198,963 ÷ 381,340 × 12 = 6.3か月】。

契約を先に取るから、半年先の売上がもう決まっている。 発注元と直接契約を結べる位置の価値は、この数字に出ます。

SIerの種類は何が違うのか|メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系は最初の客で分かれる

SIerは一般にメーカー系・ユーザー系・独立系・外資系の4つに分けられますが、違いは技術ではなく、親会社が誰かです。 そして親会社が誰かは、そのまま「放っておいても来る仕事があるかどうか」に直結します。最初の客が決まっている会社と、毎回ゼロから探す会社では、営業のやり方も社内の空気も同じにはなりません。

系統 親会社にあたるのは 最初の客 商売の重心
ユーザー系 銀行・商社・鉄鋼など、システムを使う側の会社 親会社とそのグループ グループで作った仕組みを外にも売る
メーカー系 コンピューターやネットワーク機器を作る会社 親会社の機器を入れている会社 機器と一緒にシステムを納める
独立系 無し。自分で立ち上がった会社 決まっていない 業種や技術で特色を出し、毎回取りに行く
外資系 海外の本社 海外本社の日本法人・グローバル企業 本国の製品や手法を日本へ持ち込む

ユーザー系がいちばん分かりやすいので、実際の数字で見ます。

野村総合研究所の主な相手先別販売実績には、野村ホールディングス向けが866億9,300万円、売上全体の10.6%と書かれています※1。日鉄ソリューションズは、社名のとおり日本製鉄グループの会社です※4。

売上の1割が、決まった相手から入ってくる。 営業をしなくても、来年も再来年もそのグループのシステムを見る仕事があるからです。業績が読みやすく、長い計画が立てやすい。

ただし、同じ理屈が反対側にも働きます。親会社の業績が落ちれば、IT投資も落ちる。自分の努力と関係なく仕事の量が変わるのがユーザー系の性格です。

だから、ユーザー系の会社はどこも「外の会社にも売る」ことを目標に掲げます。野村ホールディングス向けが10.6%ということは、残りの89.4%は外で取っているということでもあります。グループで培った金融システムの知見を、他の金融機関にも売っている。金融ITソリューション部門の2026年3月期の営業利益率は18.3%で、全社平均を大きく上回りました※7。

独立系は、最初の客が決まっていません。 だから業種や技術を絞って特色を作ります。TISの粗利率28.2%・営業利益率12.8%は業界平均を上回る水準で、親会社からの仕事が無いぶん、取りに行く力がそのまま数字に出ます※5。

メーカー系は、機器と一緒にシステムを納める形が基本です。サーバーもネットワーク機器も自社グループの製品なので、選定から保守までを一本にまとめやすい。

【未確認】メーカー系と外資系については、系統を代表する会社の決算数値を確認できていません。非上場の会社が多く、系統ごとの平均を出せる公開データが見つからなかったためです。数字が無いまま「◯◯系のほうが年収が高い」といった比較はしません。

なお、この4分類は絶対的なものではありません。グループから独立していく会社も、買収で系統が変わる会社もあります。 就職や転職で見るときは、分類の名前ではなく、その会社の売上が誰から来ているかを見たほうが正確です。有価証券報告書の「主な相手先別販売実績」に、その答えが書いてあります。

SIerの人月商売とは|売上が「単価×人数×月数」でしか増えない商売の形

人月(にんげつ)とは、1人が1か月働く量を1つの単位にした数え方です。SIerの見積りは、この人月に単価を掛けて作られます。売上が「単価 × 人数 × 月数」で決まるということは、売上を増やす方法が3つしかないということでもあります。単価を上げるか、人を増やすか、期間を延ばすか。この制約が、SIerの働き方をほとんど決めているのです。

業界全体で1人ぶんがいくらで売られているのか、おおよその姿は公開データから出せます。JISAの統計では、2024年度の1人あたり売上高は3,815万円でした※2。12で割ると1か月あたり約318万円です【計算:3,815万円 ÷ 12 = 318万円】。1992年度は1,770万円でした。32年で2.16倍です。

ただし、この数字をそのまま「1人月の単価」と読まないでください。 外注に出した部分の売上も含まれているため、社員1人が実際に何円で売られているかとは一致しません。業界全体の規模感を掴むための数字として見てください。

この商売の形には、はっきりした性格が3つあります。

1つめ。売上が人数の上限に縛られます。 100人の会社は、100人月ぶんしか同時に売れません。物を作る商売なら機械を増やせば生産量が増えますが、人月商売にそれはない。だから成長しようとすると採用を増やすことになります。 SIerの求人が途切れないのは、この構造があるからです。

2つめ。稼働率がそのまま利益になります。 契約が切れて次の案件まで2か月空いた社員が10人いれば、20人月ぶんの売上が消えます。給料は払い続けているので、その額はまるごと利益から差し引かれるのです。

ここは、私が長く見てきた景色と重なります。私は派遣会社の営業を長くやってきました。 人を貸す商売の利益がどこで薄くなるのかを、毎月の数字で見ていた立場です。

薄くなる場所は、だいたい決まっていました。社会保険料の会社負担。有給休暇。時給の契約だと、働いていない日は顧客に請求できませんが、本人には支払います。しかも有給の日数は、勤続年数とともに毎年増えていきます。

「せっかく集めた人に長く続けてほしい」と「続くほど原価が上がる」が、同じ会社の中で同時に成り立つ。 ここを価格交渉で解けるかどうかが、この商売の腕そのものでした。

SIerの人月商売も、根っこは同じです。人を月で売る商売は、全部この計算の上に乗っています。 違うのは、SIerには請負契約という形があるぶん、完成させれば単価を自分で決められる余地が残っていることです。

3つめ。生産性を上げても、そのままでは売上が増えません。 3人月の見積りの仕事を1か月で終わらせても、人月で契約していれば請求できるのは1人月ぶんです。早く終わらせるほど請求額が減るという、少し不思議なことが起きます。だからSIerは請負契約を好みます。完成させることに値段がついていれば、早く終わらせたぶんが利益になるからです。

この「人月で数える」という考え方が抱えている矛盾は、50年前から書かれています。フレデリック・ブルックスの人月の神話は、遅れているプロジェクトに人を追加すると、さらに遅れるという現象を一冊かけて扱った本です。この記事で書いた「単価×人数×月数」の掛け算が、なぜ現場では素直に成り立たないのか。そこを正面から論じています。

SIerの年収が業界平均より高くなる理由|元請けの位置は給与水準にそのまま出る

SIerの年収が高くなりやすいのは、元請けの位置にいる会社ほど、1人あたりの粗利が厚いからです。給料は、その人が作った粗利の中からしか出せません。同じシステムを作っていても、発注元と直接契約している会社と、その先で作業を受けている会社では、1人あたりに乗っている粗利の額が違います。年収の差は、能力差である前に、位置の差です。

実額で見ます。

項目 金額
野村総合研究所(提出会社)の平均年間給与※1 1,332万6,000円
平均年齢/平均勤続年数 39.7歳/13.7年
給与の対象人数 7,982人
給与所得者全体の平均給与※6 478万円
正社員の平均給与※6 545万円

全体平均の2.79倍、正社員平均の2.45倍です【計算:13,326千円 ÷ 4,780千円 = 2.79】。

ここに1つ、断り書きを入れておきます。

有価証券報告書に載る「平均年間給与」は、その報告書を出した会社(提出会社)の社員だけの数字です。野村総合研究所の場合、連結の従業員16,894人のうち、対象は7,982人※1。グループ会社で働く人は入っていません。「この会社なら全員1,300万円」ではないということです。

そのうえで、水準の高さには理由があります。連結の売上収益8,147億800万円を従業員16,894人で割ると、1人あたり売上は約4,822万円です【計算:814,708百万円 ÷ 16,894人 = 4,822万円】。業界平均3,815万円の1.26倍にあたります※2。

1人あたり4,800万円を売る場所と、3,800万円を売る場所では、配れる額が違う。 年収の話は、最後はここに戻ってきます。

SIerに向いてる人・向いていない人|毎日の中身から考える

SIerは作業の半分を外に出しても、完成責任を引き受ける元請けの位置にいるため売上が全額自社に立つ。

SIerに向いているのは、自分が手を動かすことより、全体が完成することに満足を感じる人です。元請けの仕事は、設計し、決め、調整し、遅れを見つけ、間に合わせることに時間の多くを使います。逆に、コードを書いている時間を仕事の中心に置きたい人には、この時間の配分は物足りません。優劣ではなく、満足の在りかが違います。

毎日の中身を、ここまでの数字から引き出したものが次の3つでした。

その1。社外の人と一緒に進める時間が長くなります。 作った量の約半分が社外への発注ということは※1、一緒に働く人の半分近くが別の会社の社員だということです。指示ではなく依頼で動いてもらう場面が増えます。直属の部下がいない状態で、人に動いてもらう必要がある。 ここを面白いと思えるかどうかが、最初の分かれ目です。

その2。作った後の期間のほうが、作っている期間より長くなります。 売上の41.5%が運用サービスでした※1。システムは作り終わってから10年20年と動きます。土日も夜間も止められないシステムがあるということは、誰かがその時間を担当しているということです。

その3。見積りの精度が、そのまま成績になります。 完成責任を負っている以上、見積りを外すと利益が消えます※1。「たぶん3か月くらい」で押し切れる場面は多くありません。 根拠を持って数字を出せる人が評価されます。

逆に、次を望んでいる場合は、元請けの仕事とはずれます。

  • 自分の手で最初から最後まで作りたい … 規模が大きいほど、担当は工程の一部になります
  • 新しい技術をすぐ試したい … 止められないシステムほど、枯れた技術が選ばれます
  • 成果が数字ですぐ返ってくる仕事がしたい … 数年がかりの案件では、結果が出るまでに時間がかかります

ここまで読んで「思っていたのと違う」と感じたなら、それは収穫です。 入ってから気づくより、ずっといい。

そして「全体を動かすほうが面白そうだ」と感じたなら、SIerはその練習ができる数少ない場所です。数十億円の予算と、100人を超える人が動く現場を、20代のうちに内側から見られる仕事は、そう多くありません。

最後に、この記事の数字をまとめます。

  • SIerとは、システムを企画から運用まで一括で引き受ける会社のこと
  • 元請けとは、システムを使う会社から直接お金を受け取る位置のこと
  • 大手SIerは、作った量の47.2%を社外に発注していた。それでも売上は全額自社に立つ※1
  • 業界全体でも、外注費率33.54% > 人件費率27.34%。1991年度とは逆転している※2
  • 元請けが受け取っているのは、完成責任という約束の対価※1
  • 4つの系統の違いは、親会社が誰か=最初の客が誰か
  • 人月商売は、単価 × 人数 × 月数でしか売上が増えない
  • 年収の差は、能力差である前に、1人あたりの粗利が厚い位置にいるかどうか

「SIerって何をする会社ですか」と聞かれたら、こう答えられます。システムを丸ごと引き受けて、完成まで責任を持つ会社です。作業の半分は他の会社に出しますが、「間に合わせます」と約束しているのは、その会社です。

その約束に値段がついている。それがSIerという商売です。

業界全体をどう俯瞰するかは業界研究とは|稼ぎ方を4つの型に分ける俯瞰図の作り方にまとめてあります。

出典

Amazonのアソシエイトとして、儲けの構造は適格販売により収入を得ています。

タイトルとURLをコピーしました